今回のご注文は、某工場の宿直室用の布団カバー。
今まで使っていたカバーが古くなり、新しいものをそろえたいとのこと。
ところでこの様な宿直室や旅館、ホテルなどの布団って、基本的にオーダーメイドです。
その施設毎にふとん屋さんが布団を作って納めています。定番サイズの布団は、業務用ではあまり使われません。最近では徐々に布団も定番サイズ化されてきていますが、昔の布団はほぼオーダーメイド。
となると、実は布団カバーもオーダーメイドで作るものだったりします。
今回、使っていた古い布団カバーを新しく、と聞いたので、布団のサイズを聞くと予想的中。昔オーダーメイドで作られた布団です。
話を進めていくと、今使っている物を送ってくれるとのこと。ではそれを基に、まずは見積から始めます。
早速送られてきた布団カバーをみると、形は一般的な「丸グリ型」。真ん中に空いた穴から、布団を出し入れする形です。
では、この通りのサイズでお見積を、と思った所お客様からの要望があり、布団が飛び出さないように真ん中の穴を小さめにしてほしいとのこと。
でもあまり小さくすると布団の出し入れがしにくくなります。
では横方向のかかりの部分を少し狭くする方向で考えていきます。
もちろん生地も提案です。
一般的に掛け布団カバーは、TCブロード生地を使います。TCとは化繊混紡生地のこと。掛け布団カバーは直接肌に触れるものではないので(タオルケットや毛布などが間に入る場合が多い)、丈夫で汚れがつきにくく、洗濯の時には乾きやすい化繊混紡生地を使います。
まず最初に形を提案。
かかり部分を大きくした形で提案します。
またいくら化繊混紡生地と言っても、洗濯を繰り返すと縮みが出てきます。
その分も見越して、送ってきた見本品よりも大きめサイズを出します。
色々と提案した結果、形はOKをいただきました。
ではこの形で、数種類の生地毎に見積を出していきます。
TC(化繊混紡)もそうですが、綿100%のブロード生地の場合も出していきます。
※ちなみに見本品は205本綿(ブロード)の綿100%生地でした。
ブロード生地はTCの方が価格が安く、綿生地は高価です。
結局お客様が選んだのは、TC生地でした。
見積にOKが出たところで、ようやく正式発注をいただきます。
見積どおりになるよう、生地を手配。
生地が手配できたら、縫製工場へ仕様書を送ります。
実は地元である静岡県浜松市は、業務用の布団カバー専門の縫製工場があります。なので「業務用です」と言えば、使い方を見越して色々とアドバイスもしてくれますし、納期に関しても融通を効かせてくれます。
発注から約二週間。順調に出来上がってきました。
さっそくお客様へお送りします。
出来上がりの感想を聞いてみると、思った以上にバッチリでした。
お客様の喜んだ声を電話の向こうから聞くと、本当に良い仕事ができたと感じます。