旅館・ホテル用の陣羽織とは、本当の鎧の上に着る陣羽織ではなく、「袖なし半天」と呼ばれるような簡易的な物です。
簡易的とは言っても、体幹は防寒していますし、袖がないぶん汚れる所は少なくなり、とても使いやすいと好評いただいています。

今回、某保養所様から新規で陣羽織を作りたいとの連絡をいただきました。
陣羽織は、先にも上げたように「袖なし半天」と呼ばれるくらい定番品であり、仕立てはほぼ決まっています。
ですので、今回まず決めるのは、使われる生地からです。

生地、と言っても、いろいろな種類があります。
ウールか、化繊混紡か、ポリエステル100%か。平織りか、アムンゼンか、梨地織りか・・・

「ちょっと急いでほしいのですが。あと必要なのは30枚くらいです。あと、緑系が良いです」

承知いたしました。では30枚分在庫のある生地で、緑の物の生地サンプルをお送りいたします。

 

ウール生地見本

 

若干、緑ではないものもありますが、すぐに30枚作れる生地の見本をお送りしました。
でも形はイメージしにくいとのことで、弊社の定番の陣羽織も一緒にお送りします。

 

仕立て見本 陣羽織

 

ところで陣羽織の仕立ては、弊社は独自の形にしています。
というのは、着た時に体にそってきれいに見えるように、肩と脇を斜めにカットしています。
一般的な陣羽織は正面から見ると四角になっていますので、それと比べるとだいぶ見た目が良くなります。

 

陣羽織の仕立ての違い

さて、今回の陣羽織、お客様は緑の縞柄の生地を選ばれました。
仕立てもお送りした見本でOKとの事。

ここまで決まれば、後は作るだけです。
急ぎと聞いていましたので、製作は大急ぎで二週間で仕上げました。

 

オリジナル陣羽織 業務用

 

衣紋掛けが上の陣羽織と違うので、肩と脇の斜め部分が目立ちませんが、実物はきちんと斜めになっています。
生地も厚手の、ポリエステルとウールの混紡生地。平織り生地ですが打ち込みがしっかりしているため、張りがあって型くずれしにくいのが特徴です。

お送りしたところ、思った以上にお客様が喜んでいただきました。
またそこの保養所様の定番の陣羽織として使っていただけるようです。

お客様に喜んでいただき、本当に良かったと感じております。